本研究課題は2年継続を予定しており、今回はその第1年目である。最終的には、パーソナル・コンピュータのグラフィック機能を活用して、農業協同組合の経営診断に関する総合的な図形表現化を目指すものである。第1年目では、まずアンケート調査を実施して、全国の各県農業協同組合中央会が行っている農協経営診断の現状を把握し、診断方法を整理・検討するとともに、鳥取県農協中央会が行っている経営診断の実例をとりあげ、フェイス・チャートおよびクラスター分析によって診断方法のち密化をはかった。 経営診断実施状況に関するアンケート調査の結果では、全国で20の県農協中央会がなんらかの経営診断を実施してしており、一口に経営診断といっても、その内容は様々で、経営分析と区別のつけにくい面をもっている。さらに、、会計情報、数値情報だけでは本当の経営改善に結びつくものではない。極めこまかい経営分析と、的確な経営診断の上に立ち、その上で実現可能な指導コンサルのノウハウがより以上に必要とされるのである。経営診断方法も真に経営改善に反映されるかたちで検討されなければならない。 第2年目には、パーソナル・コンピュータのグラフィック機能を活用して、診断結果を把握されやすいように図形化を行い、これまでとかく専門的、難解とされてきた経営診断の適用を容易にする実践的なプログラムの開発を予定している。今回導入したFMR-70HDパーソナル・コンピュータは32ビット・マシンで、処理速度、画面処理など従来からの16ビットのものと比べると数段すぐれており、若干の分析を試みたフェイス・チャートや、クラスター分析に抜群の機能を発揮した。第2年目に行う予定のグラフィック画面の動態化や、アニメーション的判断図形の開発に、技術面での基礎が揃ったといえる。
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