1.凍結過程の熱移動 凍結過程で土中に形成される凍結面を境にして、未凍結領域と凍結領域では熱移動量が異なり、後者の方が凍結面の水の凍結潜熱加わるために大きくなる。未凍結領域の熱移動量(伝導熱量)はほぼ一定であるのに対して、凍結領域の熱移動量は凍上開始後にピークを示した後、徐々に減少して両者の熱移動量の差は経時的に小さくなる。 2.凍結過程の水分移動 凍結過程の熱移動の基本は、伝導プラス凍結吸水に起因する凍結面での凍結潜熱で、後者は凍結面への水分移動を前提とする。凍上過程における水分移動の制限因子は、ポテンシャル勾配よりもむしろ脱水に伴う透水係数の著しい減少であり、ポテンシャル勾配の大きな変化はない。 3.凍結過程における土中の応力分布 凍上過程で凍結面へ水分が移動し、氷晶が生成すると未凍結領域には応力が発生する。拘束条件がない場合の応力発生は極めて緩やかで応力も小さいが、凍上過程では応力の発生と消滅(応力緩和も関与すると考えられる)が繰返され、氷晶生成が断続的に起こっていることが伺える。 氷晶生成に伴う土中内応力の断続的な発生は、土の密度変化(構造変化)をもたらす重要な要因であるから、今後は水分移動と応力発生の対応性について、研究をさらに進展させていく計画である。
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