1.融雪流出解析における積雪・融雪モデルの検討 現地で容易に利用できる気象観測資料を用いた実用的な四つの積雪・融雪変換モデルを取り上げ、それらのてきごうせいを検証するとともに、モデルのパラメーターとモデルによる降水量、融雪量などの計算値の検討を行った。解析に用いた資料は、北日本の8地区における合計60冬期間の気象資料と積雪資料である。得られた主な結果は次のとおりである。 (1)慣用の融雪係数を用いた場合お菅原雪モデルの適合性は、他のモデルに比べて良いとは言えない。これに対して、積雪の保水機構を持った改良菅原雪モデルの適合性を良好である。しかしこのモデルのパラメーターの変化は大きい。 (2)積雪深モデルの適合性は菅原雪モデルより若干良好である。全体的にみて適合性の良いのは積雪・融雪分離型モデルであるが、このモデルの場合でもなおパラメーターの変化は大きい。 (3)以上の検討結果から、積雪・融雪変換モデルの改良が必要でありそのためには積雪の保水性、降水の判別方法、降水量の割増しなどの検討が重要である。 2.融雪機構に関する現地試験 本学付属牧場地内に設置した気象・融雪測定装置により、気象・融雪量の本格的な観測を開始した。観測は根雪開始の1988年12から開始し現在継続中であるが、今冬は稀な暖冬が続いているため、積雪が少なく十分な資料が得られない状況である。 他方、過去3か年のの資料を解析し、積雪表層における熱収支を検討し、融雪に及ぼす熱収支要素の影響度を明らかにした。今後さらに試験を継続し、積雪・融雪モデルを作成する上での基礎資料の整備を図りたい。
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