農地移動の様態は都市化の圧力と強く関係していることを実証するために、東京の周辺地域にある埼玉県を対象に研究をすすめた。都市化を農地転用、農地価格、人工動態、通勤就業率によって把握し、都市化の圧力が都心からの近接性に対応し、3つの同心円としてゾ-ン区分できることを明らかにした。 農地移動の様態は都市化の圧力によって区分されるこの3つのゾ-ンによって異なること、その特徴は、都心に近いゾ-ンから順に、所有権の移転が主体であること、賃貸借の割合が所有権の移転を上回るようになること、賃貸借が主体であること、にあることを明らかにした。 さらに、農地取得の経験のある農家を対象にアンケ-ト調査を行い、農地取得の特徴および農地取得農家の意識と、都市化の圧力とのクロス分析を行った。この分析の結果得られた、都市化の圧力の高い所で見られる特徴は次の通りである。 (1)市町村を越えて、他市町村での農地取得が多い。 (2)農地取得者の居住する自集落周辺で開発が見込まれることに対する認識度合が高い。 (3)取得農家の農業粗収入は相対的に高い。 (4)代替地として農地を取得したものの割合が高い。 (5)農地をこれまでに売却した経験を複数回もっている農家が多い。 (6)取得農地を捜すにあたって不動産業者の仲介する割合が高い。
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