今年度は研究の初年度にあたり、計画通り進まなかった。それは、この研究は、雨水の浸透によって、法面内の土の中の水分状態がいかに変化するかについて知ることを主目的とし、野外の実際の農地造成現場に於いて、実験斜面を設定し、測定計器を設置する必要があった。しかし、今年度は、異常気象で梅雨期から秋雨期まで、毎日連続的に雨が降り続き、大幅に実験施設の設営が遅れた。従って、今年度の計画の内、70%程度の達成に留まった。各目標別に以下に述べる。 (1)テンションメータの設置:平成元年度の梅雨期の前までには設置できることを目途に室内での計器の調整等を急いでいる。 (2)電話回線の開設:今年度の後半になって開設できた。モデムにより現地と大学の研究室のコンピュータとのデータの交信ができた。 (3)プログラムの開発:本研究には二本のプログラムの開発が必要である。一つには、現地の実験斜面に於ける測定データをパソコン通信により、大学の研究室内で収録するためのプログラムと収録したデータをXYプロッターやグラフィックデスプレィーに描くプログラムの開発が必要であるこのプログラムの開発は現在のころ20%程度の進行状況にあるので鋭意努力中である。 二には、降雨による法面内の水分移動を予測するためのプログラムの開発である。この問題は有限要素方によるシミュレーションの問題として、昨年までにプログラムは既に開発が終っている。以後、現場との比較検討するため、解析のための入力パラメータとなる現地の克明な地形、地質のインプットデータ、すなわち、測量、スェーデン式コーン貫入試験による造成方面の密度差、土質的定数、現場透水試験による透水係数の測定などの調査測定を行なわなければならない。
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