琵琶湖流入河川デ-タと土地利用デ-タから、面源の汚濁負荷を単位面積当りで評価し、低水時の流出負荷量を推定した。都市からの排出負荷の推定では必ずしも高い精度は得られなかったが、負荷量の推定地値は適正であり、都市や農地からの排出量をとらえる上で有効なモデルであると考えられる。単位負荷の経時的な変化を推定できるから、観測河川地点デ-タからその変化特性をとらえることによって合理的な排水管理がが可能となる。この問題に関して観測網の配置法と、異常汚染源の特定方法についてまとめた。 豪雨時排水モデルとして開発改良した分布型の貯留モデルを兵庫県加古川流域等に適用したが、都市域からの排水を含め、流出量の変化を把握することができ、都市化の影響を推測できる。この種の解析で問題になるのが有効雨量の推定であるが、このモデルは日単位の追跡によって流域保留量を精度高く推定できることから、有効雨量を特に考慮することなく、豪雨時に時間単位の追跡にきりかえて、排出量の推定と、予測降雨による排水予測も可能になる。このモデルでは、土地利用単位の流出把握が可能であるから都市化に伴う流出量変化をとらえる上で優れており、都市開発や最近問題になっているゴルフ場造成等による排水上の問題を事前にチェックすることも可能であろう。排水管理に使えるほか、開発計画のチェック用として重要な事前評価モデルとなる。 排水水質の管理のためには、汚濁源の特定や、面源負荷の評価が必要であり、そのために上述の単位負荷モデルが重要になってくる。継続的な水質保全を達成する上では、排出源にかかわる流域住民の意識と維持管理に対する姿勢が問題になってくる。すなわち、人による維持管理システムについて考えておく必要がある。親水空間の創造とネットワ-ク化によって、全体的な管理意欲の向上をはかるため環境用水の導入についても考察した。
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