本研究は開水路への流入水量の制御を可能にするパソコンシステムのもとで、送水と分水の制御に関する実験と数値計算によるシミュレ-ションを用いた基礎的研究を行った。まずこれまでの簡便な自動定量分水装置としての「浮力を用いた自動定量分水装置」を付けた、より小型の分水槽を製作し、この装置の流量の規制部としての浮子の形状の改良と、実用上の設計のための数理モデル化を実現した。次にこの分水槽をパイプライン系のもとで多段にわたって配置したとき、この自動定量分水装置や潜りオリフィスによる分水槽内部の隔壁が装着されているときの、サ-ジングの安定化への効果を確かめた。とくにパイプラインと分水槽が多段に直列に配置されている時は、固有周期を基本とし、この倍周期のサ-ジングが生じるため、これを安定化することが重要であることを、実験と数値計算で検討した。次に開水路への流入水量の制御を可能にするパソコンシステムのもとで、水路や水槽での水位を、サ-ボ式水位計や抵抗線式水位計で計測し、これを8ビットのパソコンにA/Dコンバ-タを付けて取り込むシステムと、計測された水位に従ってD/Aコンバ-タからゲ-ト開度を調整するため、これまでの操作盤に新しく副操作盤を取り付け、水位不感帯からのズレをゲ-ト動作でもって回復させるようなプログラミングをおこない、これまでのリレ-回路のスイッチの微調整から、プログラムのパラメ-タのインプットによって容易した。このもとで開水路での上流端からの流入量の変化に対し、末端ゲ-トの開度を自動制御し、水路の任意の点での水位を収束させ一定化させる有効な効果を実験的に確かめた。また水位変動の数理モデル化を行い。これまでの計測・ゲ-ト制御をBASICで行うことの問題と、水位の変動を予測するようなプログラムを組み入れた総合的な制御を行うための問題を明らかにした。
|