研究概要 |
高標高地の山地未利用地を開発して建設される畜産基地では、畜舎や放牧地の用水の水源は、山間渓流に求めることになる。そのため、各種の渓流取水工が設置されている。しかし、これら取水施設では、流砂や落葉・枯枝等の堆積により十分な取水量が得られない場合が多い。本研究は、これらの実態を調査・研究し、実態にもとづく、改良型取水工を試作し、その取水工の水理学的特徴を把握した。本年度の研究実績の概要を以下に示す。 (1).取水施設付近および渓流の地形的特徴 北上山地の標高1,000m付近に建設された、酪農施設と放牧地について渓流取水工の設置された渓流と取水工付近の地形的特徴を現地調査によって把握した。とくに、渓流(取水地点の上流)については、縦横断形を測量した。北上山地に建設された7地区79団地の調査結果によると、縦断的に不安定な形状を成す渓流(Convex型)が約27%、やゝ不安定な、渓流(Uniform型)が、約20%を占めた。またこれらは、縦断形遷移点の分布を見ると遷急点が多く分布し、遷緩点も多く、全体の約65%を占めていた。この事から、これまで施工された取水工は、地形的に不安定な渓流にに多く設置されていることと、現地では流砂等の堆積が多く、取水が困難となっている施設が多く見られた。 (2).改良型取水工の試作とその実証実験結果について 現地調査をもとに維持管理の容易な取水工として、簡易集水暗渠型渓流取水工を実験水路内に試作し、取水実験を行った。特徴は、ポーラス管を用い、それを流れの方向(縦断方向)に設置したこと。水理的特徴は、河床勾配、流れの状態、ポーラス管の損失などが取水量に影響することが判明した。土砂の混入はなく水質は問題ない。などである。 次年度は、実態調査とともに、水理実験を積み重ね取水技術の確立を計る。
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