土壌の保水性は土壌表面状態に起因して生ずることから、土壌の表面状態を表わす土壌の比表面積、細孔特性から土壌の保水性を検討することは重要である。 これまでの比表面積よりの検討につづき、土壌の保水性を細孔特性より検討する2年継続研究の2年目として1年目の結果をふまえ、全国各地の100試料について細孔特性と保水性の関係について検討した。 その結果次のことが明らかになった。 1)腐植含有量2%以下の非腐植質土壌は比表面積と水分恒数の間に高い正の相関が認められるが、腐植含有量2%以上の腐植質土壌は非腐植質土壌と異なり比表面積と水分恒数の間に相関が認められなかった。 2)土壌の全細孔量と水分恒数の間には土壌の種類に関係なく正の相関が認められる。その相関係数は低pF値になるほど大きく、低pFにおける保水に間ゲキが大きく関与している。 3)pF値と間ゲキの当量直径の関係を表わすジュレンの公式h=0.3/dを用い水分特性曲線より各水分恒数の細孔量を求め、実際の細孔との関係を求めたところ両者の間には高い正の相関があり、水銀圧入法により求められた細孔量は低pFの水分保持に重要な役割を果していることが裏づけられた。 4)土壌の全細孔量とpF3.0までの低pFにおける水分恒数の間の高い相関性を利用して、土壌の全細孔量より畑地カンガイで重要となるpF3.0までの任意pF水分量を求める式を示した。
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