(1)麦間に後作の稲を播種して栽培するために使用する小型農機として、ディバイダ、購入した動力噴霧機を改造した除草剤散布機、株間除草機を試作した。また、前作の小麦刈取用としてバインダを、さらに除草剤散布用として入力用の背負ミスト機を購入した。以上の試作機と購入機を麦間の耕うん、播種、除草剤散布、さらに小麦の刈取結果、小麦刈取後の除草剤散布、株間株ぎわの機具除草に供試したが、小麦の畦幅を70cm(1条播)または畦幅を100cm(2条播)とし、稲の作付様式を条間30cmの2条播とすことにより、成熟期の小麦や稲の幼苗に損傷を与えず、的確な作業を行うことができた。 (2)クロボク土の畑ほ場において、前記の(1)の各種作業機を基幹とし、小麦間の稲の作業体系試験を行った。耕うんから播種さらに収穫にいたる作業工程は、いづれも的確に行うことができ、稲の10アール当り全所要時間は、慣行の水稲移植栽培の80%程度(35時間)であり、また稲の玄米収量は、慣行移植のように湛水や散水を行なわなかったにも拘らず10アール400Kgと慣行移植水稲の90%を確保することができた。小麦の10アール穀粒重は350Kgと慣行と同程度の収量であった。以上のことから、作業能率と収量の両面からみて、実施した作業体系の普及性は十分認められると評価してよい。 (3)稲乾田裸地直播栽培の地域実態調査を行ったが、小麦と水稲の二毛作経営において、小麦収穫後に水稲を直播することは、その時期が梅雨期の長雨にさしかかるため、作業が不能または極めて困難となることが大きな問題となってきた。このことの解決策としては、この研究課題の成果が用いられるべきであろう。 (4)今後の改善点としては、稲の除草に10アール10時間を要したが、除草剤と機具の併用により、4時間程度に短縮すべきである。
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