平成元年度においては、葉面における雨水付着量とワックス量の関係及び雨水の葉面接触角と濡れの関係、降雨処理による植物体内成分(糖デンプン、窒素含量)の変化について詳細に検討した。また昭和63年度から連続観測を行っていた雨水の酸性度について解析し、酸性化の進行状況、地域差について検討を行った。その結果は次の通りである。 1.雨水の付着量と葉面ワックス量の関係 葉面ワックス量と雨水付着量は、作物種により異なり、葉面ワックス量はキャベツ、タイサイなどで多く、サツマイモ、インゲンでは少なかった。逆に雨水付着量はワックス量の多い葉では少なく、ワックス量の少ない葉では多くなる傾向が明らかになった。これらの傾向は葉齢、降雨期間によりその程度が異なっていた。また雨水の葉面接触角度も植物によって異なり、キャベツ、イネなどで高く、サツマイモ、インゲンなどで低い値を示した。この角度もワックス量、葉齢、降雨で異なった。 2.糖、デンプン、窒素含量の降雨による変化 糖は地上部、地下部とも降雨処理により著しく減少し、降雨期間が長くなるとともに、減少程度が大きくなった。特に茎において減少率が大きかった。窒素含量は降雨処理の影響は少なかった。 3.降水の性質の観測 作物体の雨ぬれ障害をひきおこす一因である雨水の酸性度等について昭和63年8月から観測を行った。雨水のpHの平均値は4.21〜4.40の間にあり、酸性化が進んでいた。また岡山県倉敷市と香川県三木町の雨水のpHを比較した結果、岡山ではpH4.28〜4.44の範囲であったが、香川では4.48〜4.79で、岡山の方が酸性度が低く、地域差があることが明らかになった。
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