牛の生理指標の中で体温は、分娩予知や発情発見において利用可能性が高いと思われる。そこで本研究では、小型のデ-タロガ-を用いて測定した牛の体温変化に焦点をあて実験を行った。 1.発情牛の体温変化:7頭のホルスタイン種未経産牛を用いて、のべ8回の分析可能な発情時デ-タを得た。その結果日最低体温が特徴的な変化を見せ、それを要約すると次のようになる。 (1)発情日の2〜3日前から低下し始め、発情日前日が最低となる。低下の幅は0.1〜0.8度であった。 (2)発情日には前日と比べ0.3〜0.6度上昇する。 (3)発情期間が2日間にまたがるとき、2日目の最低体温も高い。 (4)発情終了後、直ちに発情前のレベルに戻る。 2.分娩牛の体温変化:24頭のホルスタイン種経産牛を用いて実験を行なった結果次のような知見を得た。 (1)分娩の3日前から1日前まで体温が上昇し、その後分娩にむけて低下する。 (2)体温の上昇は、夜半から朝の体温変化において明瞭である。 (3)分娩時刻と体温変化の関係が示唆された。 3)付随した成果として、牛の主なる体温変化は次のような要因からなることを確認できた。その分離方法としては移動平均によるフィルタリングが有効であった。 (1)概日リズム・・・朝低く、夕方高い。 (2)給飼間隔と同期したリズム・・・給飼後の熱量増加による。 (3)3〜5時間周期のゆらぎ・・・起立・横臥行動による。 現在、以上の成果をもとに発情発見と分娩予知の精度を上げるソフトウェアの開発を進めている。
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