研究概要 |
鶏血液型B座位は主要組織適合(MHC)座位として知られている。B座位には少なくとも3つの亜領域、即ちB-G、B-F、B-Lが存在している。今年度の研究目的は3つの亜領域に対応するモノクローナル抗体(Mab)の作製とこのMabを用いたB座位の構造と機能の解析である。 1.B遺伝子型の明らかな鶏の赤血球および白血球をBALB/c系マウスに免疫し、最終免疫後3回目に摘出した脾細胞とエミローマ細胞であるSP-2株との細胞融合よりMab産生ハイブリドーマを作製した。 2.現在までに作製されたMabについてB遺伝子型の明らかな鶏の赤血球およびリンパ球を用いて分析した結果、型特異性を持った抗体は産生されていなかった。しかし得られたMabのいくつかはMHCに特異的に反応し、分析の結果、赤血球とリンパ球の両方に反応する事から3つの亜領域のうちのB-F領域に特異的である事が明らかとなった。 3.B-F領域に対するMabをリガンドとして用いたアフイニイテイクロマトカラムによりMHC抗原の精製を試みた。アフイニイテイ精製後の試料をSDS-PAGEにより分析した結果、B-F抗原は分子量が約50,000の物質であると推定された。(山本担当) 4.鶏ハイブリドーマ作製のためREVトランスホームB細胞株に突然変異誘発剤を処理してthymidine kinase(TK)欠損株の樹立を試みた。TK欠損株と鶏脾細胞との融合実験を行った結果、融合効率や免疫グロブリン産生性ハイブリドーマーの出現率はやや低かったが抗体産生ハイブリドーマを得る事に成功した。(松田担当) 来年度は3つの亜領域の残る2つの領域に対応するMabを作製し、抗原の構造と機能についても検討を行う予定である。
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