優良な家畜排泄物コンポストを生産し、普及するための品質評価法の確立が急務である。本研究は、材料、製法別に約30点のコンポストを収集し、それらの使用性、養分供給効果、土壌質改善効果、障害性の面から品質を評価し、品質評価法を検討した。 1.使用性:水分含有率、粒径組成、粘着性、臭気を測定した。水分含有率は13〜64%、平均38%(現物)であった。粘着性は水分含有率が50%以上の製品で認められ、25%以下では認められなかった。臭気が強い製品の水分含有率は一般に高かった。悪臭除去の検討が必要である。 2.養分供給効果:コンポスト中のN含有率は1.1〜4.1%、平均2.5%(乾物)であった。材料別では牛糞:1.8、バーク、汚泥:2.3、豚糞:3.3、鶏糞:3.8%となった。作物によるN利用率は豚糞、鶏糞コンポストで20〜40%と高く、バーク、汚泥では3%以下と低かった。N含有率よりNの可給性が重要な指標となる。P含有率は0.17〜6.85%、平均1.93%(乾物)と大差があり、豚糞:4.5、鶏糞:2.7、汚泥:1.4、バーク:1.0、牛糞:0.8 %の順であった。しかし、作物によるコンポストPの利用率はいずれも15〜20%となり、コンポスト全Pの測定により、P供給効果を推定できると考えられた。また、塩基含有率は平均K:1.7、Na:0.13、Ca:5.4、Mg:0.72%(乾物)となったが製品間に大差があった。コンポストの塩基濃度からコンポスト施与土壌の置換性塩基増加量を推定できる。 3.土壌質改善効果:コンポスト混合後の土壌pHの変化は小さく、20日程度のインキュベーションでその後のpHは推定できる。また緩衝能は鶏糞、豚糞コンポストの施与で顕著に増大した。 4.障害性:Zn、Cu含有率が高い製品があり、連続多量施与時に問題を生ずる可能性がある。豚糞、鶏糞コンポストの一部の製品がコマツナの発芽を阻害した。障害性に関する詳細な検討が今後必要である。
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