研究概要 |
6週齢末に早期離乳したホルスタイン種雄子牛を用い、離乳後1ヶ月以内における飼料由来の非分解性蛋白質(UDP)の必要性および有効性について検討した。すなわち、離乳後も食道溝反射を維持させた子牛に第一胃内における蛋白質分解率が低いトウモロコシとコ-ン・グルテンミ-ル主体の濃厚飼料(CP含量14%)とイナワラを9:1の割合で体重の3%相当給与し、食道溝経由でアミノ酸をバイパス投与した場合のN出納に及ぼす影響を調べた。試験1では8頭を供試し,4頭ずつ2区に分けて1期2週間の2×2ラテン方格法により、L-リジン塩酸塩20g/日とDL-メチオニン2g/日を同時にバイパス投与した場合のN出納を、等N量のL-グルタミンをバイパス投与した場合と比較した。その結果、リジン+メチオニンの投与により尿中N排泄量および同排泄率は有意に減少し、N蓄積量および蓄積率は有意に増加した。試験2では6頭を供試し、3頭ずつ2区に分けて試験1と同様の方法によりL-リジン塩酸塩(0.333g/kg期首体重)を単独で投与した場合と、等N量のL-グルタミンを投与した場合とを比較した。その結果、リジンの単独投与によって尿中N排泄量(率)は有意に減少し、N蓄積量(率)は有意に増加した。この結果は、早期離乳後1ヶ月以内の子牛にトウモロコシとCGM主体の飼料を給与するとリジンが単独で強い制限になることを示すが、同時に、トウモロコシおよびCGM由来のUDPはリジンが制限となってその利用性が悪いことを示すものでもあり、我が国の牛用配合飼料は主原料がトウモロコシやマイロであることを考えれば、将来における飼料蛋白質の有効利用に一つの可能性を開くものといえる。
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