研究課題/領域番号 |
63560285
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 良博 東京大学, 農学部, 助教授 (90092303)
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研究分担者 |
九郎丸 正道 東京大学, 農学部, 助手 (00148636)
西田 隆雄 東京大学, 農学部, 教授 (20023426)
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キーワード | C57BL / 6マウス / 性索形成 / PAS反応 |
研究概要 |
C57BL/6マウスの生殖腺の組織発生に伴う精巣索・生殖細胞索の形成過程を光顕・電顕にて詳細に観察し、その性索を構成する体細胞(セルトリ細胞、卵胞上皮細胞)の起源について検討した。 性交後12〜14日齢の精巣において、セルトリ細胞の細胞質内に強いPAS陽性反応が観察され、前セルトリ細胞のマーカーとしてPAS反応が有効な方法であることが認められた。交尾後12日齢の未分化の精巣において、前セルトリ細胞(PAS陽性細胞)は生殖細胞周囲に不規則な索様の配列として認められ、性分化後(交尾後13日齢)間葉系細胞群の精巣実質内への侵入と同時に生殖細胞と前セルトリ細胞を含む精巣索の形成が観察された。上述のPAS反応により同定される前セルトリ細胞群は、その微細形態学的特徴および体腔上皮との関連性に乏しいことから中腎組織由来であることが示唆された。 一方卵巣においては、その発生過程を通して明瞭な生殖細胞索の形成は認められない。交尾後15日齢頃から、ほぼ毛細血管にて占められる間葉系組織が卵巣内へ侵入する結果、互いに吻合した生殖細胞索様構造が形成された。この構造は、卵巣基部において卵巣網と連絡し、体腔上皮との接触部位においては、上皮内への侵入が観察された。以上のことから、雌の卵胞上皮細胞の起源は主に中腎組織であり、体腔上皮由来の細胞群も一部それに含まれていると考えられた。 雌雄の性索および性索様構造の形成時期は異なっているが、その形成に間葉系の細胞群が大きな役割を果たしていることが確認された。また、本マウスにおいて、PAS反応は胎仔精巣の組織形成の追求に、さらに早期の性別判定にも有効な手段であると考えられる。
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