前年度で、C_2毒素2成分を調製し、培養細胞と反応させたところ細胞の著しい形態変化がみられ、C_2毒素に対する培養細胞の形態変化に特徴的な細胞の円形化と毒素量との間に定量的な関係があることを見い出した。さらに細胞の形態変化が毒素による細胞内アクチンのADPリボシル化と並行することがわかった。 本年度の研究計画は、C_2毒素による培養細胞の形態変化と細胞骨格の動態との関連性を、細胞内アクチンその他の細胞骨格成分の蛍光染色によって観察すること、C2毒素によってADPリボシル化したアクチンの性状変化を明らかにすることであったが、細胞の円形化に伴ってストレスフアイバ-の切断・消失がみられた。一方、in vitroで精製非筋細胞アクチンをC2毒素のcomponent IによってADPリボシル化すると、アクチン1モル当りADPリボシル残基1モルが結合すること、毒素によるADPリボシル化によって、アクチンの重要な活性である重合能が完全に不活化されることなどがわかった。このような結果は、C2毒素によって細胞内アクチンがNADのADPリボ-スの転移を受けて修飾されることによって、細胞形態を支持している細胞骨格の主要メンバ-であるアクチンの活性であるG→F変換能が失われ細胞の形態変化を起こすことがわかった。
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