1.ICRマウス、ウィスタ-ラット、モルモット、ゴ-ルデンハムスタ-の、肝臓、膵臓、胃、小腸、心臓、大腿二頭筋、子宮、腎臓皮質、脾臓、リンパ節、大脳、脊髄および赤血球中のLDHとCPKアイソザイムを、組織電気泳動法にて分析した。マウス、モルモット、ハムスタ-ではLDHは5本、ラットでは4本のアイソザイムバンドを認めた。CPKは各動物とも3本のアイソザイムバンドを認めた。ハムスタ-ではMMバンドはさらに2つの亜分画に分離した。同じゲッ歯類でも臓器パタ-ンは異なり、本分析法は近交系の遺伝学的、系統発生学的分類に応用できると考えられた。 2.起立位の後貌で外股部および半膜様筋腹側部で、左右の筋肉の不対称が認められた。サラブレッド種牡馬、13歳の当該病変部とその対称の位置の筋肉を生検にて得た。左側の筋萎縮をみた部位は、組織病理学的に重度の限局性筋萎縮と診断された。本部位の筋LDHアイソザイムはLDH_5が90%を占め、対称の部位ではLDH_5が70%を占めLDH_3とLDH_4も認めた。健常馬の対照実験ではLDH_5は70%を占めたが、LDH_1〜LDH_4も明瞭に認められた。筋LDHの嫌気的代謝活性の強さは、病変部>病馬健常筋>健常馬筋であり、萎縮部位の酸素欠乏状態を示唆した。 3.肉眼的に正常な牛肝臓と病変を有する肝臓を組織学的に区分して、肝LDHアイソザイムパタ-ンを観察した。病群の群分けには、LDH、LDH_3、LDH_5の分画の寄与度が高かった。各群間の正判別率はうっ血群と脂肪化群で72%うっ血群と壊死群で79%であった以外は各群間で80%以上で良好に判別された。牛の肝LDHアイソザイムは病変に対応した固有のパタ-ンを持つことが示唆された。
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