研究課題/領域番号 |
63560302
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 助教授 (10144007)
|
研究分担者 |
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助手 (80196774)
金城 俊夫 岐阜大学, 農学部, 教授 (40045084)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
キーワード | ロタウイルス / ズ-ノシス / 単クロ-ン抗体 / ウイルス分離 / 亜群 / RNA分節 / 血清型 / RNA-RNAハイブリダイゼ-ション |
研究概要 |
ロタウイルスのズ-ノシス病原体としての可能性を探るために、概ね2つの実験を行なった。第1はヒトと接触する機会の多い動物からのウイルス分離、第2は分離ウイルスの抗原と遺伝子的解析である。最初に、各種動物の糞便を1000例採集してウイルス分離をMA-104細胞で行なった。しかし、予想していた以上に難しく、現在までにイヌから3株を得たのみであった。そこで、第2の研究に主体をおいた。すなわち、すでに分離していたハトロタウイルス、PO-13株の亜群、血清型及びRNAの性状を調べて、PO-13株とヒトロタウイルスとの関連性を追求した。亜群の同定はPO-13株のVP6に対する単クロ-ン抗体を用いて行なった。その結果、亜群I型のウイルスとのみ反応する単クロ-ン抗体が生存したことから、PO-13株の亜群はI型と確認された。既知の血清型1〜4のウイルス株との交差中和試験によってPO-13株の血清型は7型と同定された。PO-13株のRNA分節パタ-ンは七面鳥由来のTyl株と極めて類似していたが、血清型の1〜4のヒトロタウイルスのそれらとは5,10及び11分節で明らかに異なっていた。また、PO-13株のRNAをプロ-ブとしたRNA-RNAハイブリダイゼ-ションでは1〜4型のいずれのヒトロタウイルスとも相同性を示さなかった。 以上の成績から、ハトロタウイルス、PO-13株は米国で分離されたTyl株とほぼ同じウイルスであることが判った。しかし、既知のヒトロタウイルスとは血清学的にも遺伝学的にも異なっていた。したがって、本研究の結果と以前に明らかにしたヒトにおけるPO-13株に対する抗体の高い保有率とを考慮すると、ヒトと動物に共通した未知のロタウイルスの存在がうかがわれた。この仮説を証明するために、現在多くのヒトや動物からのロタウイルスの分離を続行中である。
|