ω-コノトキシンGVA受容体(Caチャンネル成分)を大量に精製するため、^<125>Iの代わりに^3Hで標識したω-コノトキシンをGVAを用い、牛脳の低張処理したP_2分画への結合を先ず検討した。その結果、ラット脳と同様に高親和性(Kd約3pM)、低親和性(Kd約4nM)の2ケ所の特異的結合部位が存在することが明らかになった。両部位への毒素の結合はともに部分的にしか解離せず、2価および3価の金属イオンによって強く阻害された。また、〜されたが、d-cis型はl-cis型により約10倍強力であった。GVA受容体は種々の界面活性剤により可溶化されるが、試みた界面活性剤のうち、ジギトニンが最も高い回収率を与えたので、ジギトニンを用いて以後の実験を行った。ジギトニン可溶化されたGVA受容体は、Kaが約0.3nMの一種の結合部位のみを示した。この可溶化受容体への^3H-GVAの結合は、ディルティアゼムによって、立体特異的に阻害されることすら、高親和性部位に由来するものと考えられた。低親和性部位は、ほとんど失活したものと考えられる。可溶化受容体はもとの膜のそれとほとんど同様な性質を示した。蔗糖密度勾配遠心では、GVA重体・ジギトニン複合体は約20Sの沈降定数を示し、大きな分子であることを強く示唆した。可溶化受容体は、20℃ではきわめて不安定で失活しやすいが、4度ではかなり安定であることがわかった。膜の受容体は^<125>I-GVAにアジドニトロベンゾイル基を導入したものによって光親和標識すると、分子量約310KDa、230KDaおよび37KDaの成分が特異的に標識されるが、可溶化受容体では37KDaは標識されなかった。この原因は不明である。また、可溶化受容体へのGVAの結合は膜分画と同様に、ネオマイシン、ストレプトマイシン等のアミノグリコシド抗生物質によってμM〜10μMのレベルで強く抑制された。
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