体温調節に関与する、中枢温度感受性組織(視束前野・前視床下部、延髄網様体、脊髄)をアルゴン・レ-ザを用い局所加温し、耳介皮膚温の上昇、呼吸数増加の熱放散反応、この反応による深部体温の下降、および加温部位の温度分布について各組織を比較検討した。レ-ザ加温法:(脳組織のレ-ザ加温)直径0.4mmのグラスファイバ-を加温部位まで刺入し、このグラスファイバ-を介しレ-ザ照射して先端の周辺組織を加温した。(1)ウサギ脳組織では、10〜25.4mWの照射量で0.5〜2.0℃の温度上昇が得られた。(2)上昇温度の等温度分布は、ファイバ-先端より前方部では照射方向に長い楕円体、後方部では球に近似された。これ等の結果から、10〜25.4mW範囲内の任意照射量での3次元温度分布のシュミレ-ションが可能となった。(脊髄のレ-ザ加温)前処置として脊髄硬膜上腔にガイドチュ-ブを留置し、実験時には、ガイドチュ-ブに挿入したグラスファイバ-の先端を移動させ、脊髄の任意の部位を選択的に加温出来た。脊髄表面の最高上昇温度および0.5℃以上温度上昇した脊髄の長さは、40mWで1.32℃、7.3mm、60mWで2.02℃、10.5mm、80mWで2.73℃、13.1mm、100mWで3.28℃、15.2mmの結果が得られた。視束前野・前視床下部(PO/AH)、延髄網様体(MRF)の局所加温:(1)無傷ウサギの局所加温により誘発された熱放散反応に、両部位で有意の差は認められなかった。(2)しかし、熱放散反応を誘発する最少照射量に有意差があり、PO/AHではMRFの1/3の加温範囲で同程度の反応が誘発された。脊髄の局所加温:(1)脊髄のL4からThlの全域で、熱放散反応が誘発され直腸温が下降した。(2)しかし、加温位置により反応量は異なった。(3)胸髄と腰髄で比較すると、反応量に差は認められなかった。
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