バゾプレッシンV_2受容体は腎臓の集合尿細管に存在し、アデニル酸シクラーゼに共役する刺激型の受容体である。この受容体の分子構造を知るために、ブタ腎臓由来の培養細胞(LLC-PK1)から得られたメッセンジャーRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入し、V_2受容体を発現させた所、この受容体をコードするメッセンジャーRNAの大きさが16Sであることが判明した。 LLC-PK1培養細胞から、チオシアン酸グアニジン一塩化セシウム超遠心分離法により全RNAを抽出し、オリゴdTセルロースカラムクロマトグラフでポリ(A^+)RNAを精製した。このポリ(A^+)RNAをさらに10-30%蔗糖密度勾配超遠心分離によって分画した。成熟した雌性アフリカツメガエルから卵母細胞を取出し、上記の各分画を微量注入して、V_2受容体の発現を待った。4日後に卵母細胞膜をホモジナイズして、その細胞膜中のアデニル酸シクラーゼ活性を、10^<-7>Mアルギニンバゾプレッシンの存在下あるいは非存在下で測定し、V_2受容体の発現の有無を調べた。16Sの大きさを持つポリ(A^+)RNAを注入された卵母細胞膜中にのみV_2受容体の存在が認められた。また当然のことながら、このバゾプレッシン依存性のアデニル酸シクラーゼ活性上昇は、10^<-5>MのバゾプレッシンV_2拮抗薬〔d(CH_2)5、Tyr(OEt)^2〕AVPによって拮抗された。
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