研究課題/領域番号 |
63570109
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平良 眞規 千葉大学, 医学部, 助手 (60150083)
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研究分担者 |
橘 正道 千葉大学, 医学部, 教授 (50009081)
石嶌 純男 千葉大学, 医学部, 助手 (70184520)
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キーワード | ヌクレオチド合成 / ホスホリボシルピロリン酸合成酵素 / cDNAクローニング / アイソザイム / アイソフォーム / 組織特異的発現 / 精巣特異的発現 / 組み換えDNA |
研究概要 |
ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)合成酵素はリボース-5-リン酸とATPを基質とし、ヌクレオチドへの主要なリボース供与体であるPRPPを合成する。従来、酵素蛋白質の解析では本酵素のサブユニット(分子量34K)は一種類と考えられていたが、ラットのcDNAクローニングにより、相同性が非常に高いが明らかに異なる二種のサブユニットPRSIとPRSIIの存在が明らかとなった。ヒト-マウスのハイブリッド細胞を用いたヒト遺伝子マッピングでは両遺伝子(それぞれPRPS1とPRPS2)はX染色体上の異なる領域に存在することが示された(慶大・清水信義らとの共同研究)。またその過程でPRPS1関連遺伝子としてPRPS1L1とPRPS1L2が見い出されそれぞれ7番と9番染色体上にマップされた。ラットの各種臓器を用いたPRPS1とPRPS2遺伝子のmRNAへの発現の解析では、両遺伝子は多くの臓器で発現が見られたがその発現量には組織特異性が見られた。また精巣にはPRPS1とPRPS2mRNA(それぞれ2.3と3.7kb)とは大きさが異なりPRPS1cDNAと強くハイブリダイズする1.4kbのmRNAが見い出された。本課題の初年度はこの精巣特異的に発現しているmRNAが本酵素における第3のアイソフォームをコードしている可能性を検討することを中心に研究を進めた。 精巣特異的1.4kbmRNAはマウスとヒトでも発現が見られており、また、PRPS1cDNAを用いたバイブリダイゼーションによる解析ではPRPS1遺伝子由来ではないことが示唆された。そこでヒト精巣cDNAライブラリーを作成し1.4kbmRNAのcDNAをクローニングした。得られたcDNAをプローブとして精巣RNAに対しハイブリダイゼーションを行ったところ1.4kbmRNAに強くハイブリダイズすること、及びヒトゲノムDNAに対してのハイブリダイゼーションではPRPS1L1由来であることが示された。これらの結果は精巣特異的mRNAは第3の遺伝子(PRPS3と改名)から転写されることを示しており第3のアイソフォームの存在を強く示唆している。
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