研究課題/領域番号 |
63570110
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
酒井 正春 北海道大学, 医学部, 助教授 (50162269)
|
研究分担者 |
今門 純久 東京大学, 医学部, 助手 (60168507)
|
キーワード | ステロイドホルモン / エストロゲン受容体 / 人工欠失変異 / 転写調節 / 機能的ドメイン構造 / エストロゲン標的遺伝子 / 遺伝子クロ-ニング |
研究概要 |
本年度は3年計画の最終年度であり、下記の研究を継続し完成した。 ラットエストロゲン受容体のcDNAをN-端側およびC-端側から順次欠失した変異受容体を作製し、エストロゲン作用部位を持つ標的遺伝子と共にCOS-7細胞に導入した。エストロゲンに依存した転写活性を測定し、欠失変異を持つ受容体の転写促進活性を調べた。その結果、N-端より185-267番目のアミノ酸のDNA結合領域および、307-557のステロイド結合領域以外に二つの転写を活性化する領域が明らかになった。一つは、316-341の領域で他のいくつかの転写因子にみられるように酸性アミノ酸に富んだ領域である。もう一つの領域はN-端に近い59-140の疎水的な領域で、すでに報告されている転写因子、CTF、OCT-2、OCT-3などの活性化領域と似た性質を持っている。この領域の欠失の影響は、標的遺伝子によって異なり、エストロゲン受容体のN-端側には標的遺伝子の違いを認識し、それぞれの標識遺伝子にふさわしい転写活性化をする働きがあることが示唆された。又、次の研究も一定の成果を挙げ今後の発展の基礎を確立した。 エストロゲン受容体の標的遺伝子に対する特異的な結合を利用してエストロゲン標的遺伝子の単離を試みている。エストロゲンcDNAのDNA結合領域部分を大腸菌で大量に発現させ精製した。この蛋白質と約1-2Kbに切断した遺伝子DNAを混合し特異的に結合したDNAのみをフィルタ-に吸着させた。得られたDNAをクロ-ンして塩基配列を調べた結果、エストロゲン作用配列を含んでおり標的遺伝子である可能性が強い。これらをプロ-ブとして、遺伝子ライブラリ-やcDNAライブラリ-をスクリ-ンし標的遺伝子がクロ-ンできるものと思われる。発現実験のうち大腸菌を用いるものは成功したが、より天然型に近いリコンビナント分子を発現するカイコを使用する系では予期した結果は得られなかった。
|