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1988 年度 実績報告書

モノクローナル抗体によるポリADPリボース合成酵素の生理的役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 63570118
研究機関高知医科大学

研究代表者

宇城 啓至  高知医科大学, 医学部, 講師 (10151854)

研究分担者 戸田 勝己  高知医科大学, 医学部, 助手 (40197893)
キーワードポリADPリボース合成酵素 / クロマチン蛋白 / モノクローナル抗体 / マイクロインジェクション / 核局在シグナル
研究概要

ポリADPリボース合成酵素は、細胞核内に局在し、細胞増殖の制御や細胞DNA鎖の損傷修復に関与していることが示唆されている。しかしながら、これらの過程の分子レベルでの機作については未だ不明な点が多い。そこで報告者らは、本酵素に対するモノクローナル抗体を用いて本酵素の役割を解明することを試みた。
1)抗体を細胞核内に導入するため、抗体IgGのFab断片を調製した。更に、SV40ウィルスのラージT抗原の核局在シグナルを含むペプチド(アミノ酸残基数12)を抗体IgGに結合させた。このFabと修飾IgGは抗体活性を保持しており、試験管内では本酵素活性を完全に阻害した。2)Fab及び修飾IgGを培養細胞(HeLa細胞、ヒト線維芽細胞など)にガラス細管を介して注入し、Fabは3時間後、修飾IgGは30分後には大部分が核内に移行していることを免疫組織化学的に確認した。3)細胞のDNA及びRNA合成に対する抗体の影響を調べるため、抗体を注入した細胞に3Hチミジン又は3Hウリジンをとりこませた。いずれの場合も対照(本酵素活性を阻害しない抗体を注入した細胞)との間に有意な差はみられなかった。4)ジメチルサルフェイトにより抗体導入細胞のDNA鎖を損傷させ、細胞のRNA合成能の回復を^3Hウリジンのとりこみで調べたところ、これも対照との間に有意な差はみられなかった。
これらの結果から、本酵素は細胞内で充分量存在し、その一部分を阻害しただけでは細胞のDNAやRNAの合成能、及びDNA損傷修復能に影響を与えないことが明らかになった。今後、本酵素の役割を解明するためには、本酵素の生合成を抑制し、かつ充分量の抗体を細胞核内に導入することが必要と考えられる。そこで現在、本酵素cDNA解析中にみつかった酵素の多型性を考慮しながら、ゲノムDNAを解析して、本酵素の発現調節機構を究明することを急いでいる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Katsumi Toda: FEBS Letters. 印刷中. (1989)

  • [文献書誌] Hiroshi Ushiro: "ADPーRibose Transfer Reactions:Mechanisms and Biological Significance" SpringerーVerlag, (1989)

  • [文献書誌] Yutaka Shizuta: "ADPーRibose Transfer Reactions:Mechanisms and Biological Significance" Springer-Verlag, (1989)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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