研究課題/領域番号 |
63570123
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
岡崎 太郎 日本医科大学, 医学部, 教授 (30060354)
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研究分担者 |
佐藤 浩之 日本医科大学, 医学部, 助手 (80187228)
阿部 靖子 日本医科大学, 医学部, 助手 (60089612)
安室 尚樹 日本医科大学, 医学部, 講師 (10151127)
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キーワード | ヘモグロビン / ラット / グロビン遺伝子 / 偽遺伝子 / グロビン鎖 |
研究概要 |
ラットヘモグロビン(Hb)の多様性に関して、分子生物学的手法により諸種の解析を行い、以下の結果を得た。 1.グロビン遺伝子の単離と構造解析 (1)ラット肝ゲノムDNAライブラリーより、すでに得ているIαおよびIIβグロビンcDNAをプローブとして、IIαおよびIIIβグロビン遺伝子を単離し、その塩基配列を決定した。両遺伝子は共に発現に充分なプロモーター、エクソン、イントロン、ならびに3'-下流の特定な配列を有していた。 (2)また、IIα遺伝子の下流に隣接して、5'-プロモーター領域から第2イントロンに至る配列を欠く、α型偽遺伝子が存在した。近縁のマウスにも類似な構造はなく、ラットにユニークなものと考えられた。 (3)さらに、従来その存在が示唆されていながら不明であったラットのembryo型βグロビン遺伝子を単離し、その構造を明らかにした。推定されるアミノ酸配列はマウスのembryo型βh1グロビンとの間に95%のホモロジーを示した。 2.グロビン鎖の精製と構造解析 (1)ラット溶血液より9種のHb成分を分離し、逆相HPLCによりそれぞれのHbを構成するαおよびβグロビン鎖を単離精製した。 (2)次いで、各グロビン鎖のN-末端近傍アミノ酸配列を決定し、9種のHbが3種のα鎖および3種のβ鎖の組合せより成ることを明らかにした。この結果から、成体ラットにみられるHbの多様性には、その一部にpost-transLational modificationの機構が関与することが示唆された。
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