研究課題/領域番号 |
63570124
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
池原 征夫 福岡大学, 医学部, 教授 (70037612)
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研究分担者 |
高見 昇 福岡大学, 医学部, 助手 (80154904)
緒方 繁憲 福岡大学, 医学部, 助手 (30131816)
三角 佳生 福岡大学, 医学部, 助手 (10148877)
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キーワード | 糖脂質結合型蛋白質 / 5´ーヌクレオチダ-ゼ / cDNAクロ-ニング / 一次構造 / 糖脂質アンカ- / C末端シグナル |
研究概要 |
ラット肝およびヒト胎盤5´ーヌクレオチダ-ゼのcDNAをクロ-ニングし、その全一次構造を明らかにすると同時に、精製蛋白質について糖脂質アンカ-の組成を分析しそのC末端結合部位を決定した。 1.ラット肝5´ーヌクレオチダ-ゼの一次構造:cDNAライブラリ-から3.2kbの本酵素のcDNAクロ-ンを得た。塩基配列から推定される本酵素前駆体のアミノ酸数は576残基であり、N末端28残基はシグナルペプチドであることがわかった。前駆体のC末端には19残基から成る疎水性領域があり、糖脂質アンカ-をもつためのシグナルになっていることが示唆された。 2.膜結合領域の分離精製と化学的分析:精製酵素をBrCN処理によってペプチド分解を行い、ヘキサン抽出後、HPLCにかけてC末端部分を精製した。各種化学分析の結果、この精製標品にはエタノ-ルアミン、マンノ-ス、グルコサミン、イノシト-ルおよびステアリン酸を主成分とする脂肪酸が含まれることがわかった。また14個のアミノ酸から成るペプチド配列が同定され、これはcDNAから推定される一次構造の510番目から523番目の配列に一致した。以上の結果は、成熟蛋白質では、前駆体C末端の疎水性領域(524〜548)は切断されており、523番目のアミノ酸(セリン)に糖脂質アンカ-が結合していることを示す。 3.生合成レベルにおける糖脂質アンカ-の同定:初代培養ラット肝細胞を用いてラベル実験を行った結果、本酵素は^3Hで標識された上記の糖脂質各成分でラベルされることがわかった。 4.ヒト胎盤5´ーヌクレオチダ-ゼの解析結果:ヒト胎盤酵素についても、1)cDNAクロ-ニングおよび塩基配列の決定によりその全一次構造を明らかにし、2)精製蛋白質について各種化学分析を行った結果、ラット肝酵素の解析結果とほぼ同様の知見を得た。
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