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1988 年度 実績報告書

赤血球のグルタチオンヒグルタチオン拘合体輸送に関与する新しい膜ATPaseの意義

研究課題

研究課題/領域番号 63570127
研究機関北海道大学

研究代表者

近藤 宇史  北海道大学, 医学部, 講師 (00158908)

キーワード赤血球 / 膜輸送 / グルタチオン / グルタチオンS-抱合体 / ATPase
研究概要

ヒト赤血球膜より酸化型グルタチオン(GSSG)とグルタチオンS-拘合体で活性化を受ける新しいMg^<2±> ATPaseを見出し、その生化学的、酵素学的性状を検討した。(方法)新鮮ヒト静脈血より洗浄赤血球を調整し、10mMトリス塩酸緩衝液、PH7.4で洗浄して溶血させ、遠沈にて膜成分をとり出した。更に0.5%トリトンX-100で処理した膜成分を超遠沈にかけて、蛋白の可溶化を行い、次にS-ヘキシルグルタチオンを結合したセファロース4Bカラムを用いて酵素を分画し、更にセファクリルS-400カラムを用いて精製した。(結果)アフィニティーカラムからの溶出でS-ヘキシルグルタチオンに対して異なる親和性を有する2つの酵素画分が得られた。各々の画分は比活性約1000nmolpi放維/mg蛋白/分で、100ml赤血球を原料として約100mgずつ得られた。この酵素標品の分子量は15万で85,000と65,000の2ケのサブユニットを有していた(SDS-電気泳動)。アフィニティーカラムから最初に溶出されるI型アイソザイムはGSSGを基質としてKmが150μM、後から溶出されるII型アイソザイムが2mMであった。ATPに対してはI型が80μM、II型が140μMのKmを示した。これらの酵素はNa^+-K^+-ATPase活性やCa^<2±>ATPase活性を示さず、ウワバインやFGTAで抑制されなかったことから、即に知られているイオン輸送を司る膜ATPaseとは異なるものである。II型アイソザイムはP-クロロマーキュリベンゾエイトNEMで阻害され、ジチオスレイトールの添加で活性化を受けたが、一方I型はこれらチオール剤添加で活性変化を示さなかった。これら酵素はS拘合体によっても同様に活性化されたが、還元型グルタチオンでは活性化を受けなかった。即に赤血球膜にはATPを利用するグルタチオン輸送系が存在することが知られているが、その輸送系と本酵素の性状が極めて類似していることから、本酵素がGSSGなどの膜輸送に関与していることが強く示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 近藤宇史: 蛋白質核酸酵素. 33. 1466-1473 (1988)

  • [文献書誌] Takahito,Kondo: "Glutathione Centennial" Academic press, (1989)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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