1慢性関節リウマチ滑膜細胞の特性について RA滑膜炎で著明に増殖する滑膜D細胞は、骨髄由来の可能性の高いD(M)細胞と間葉系由来が示唆されるD(F)細胞に分けられることが明かとなった。滑膜細胞を培養すると、D(F)細胞由来が考えられる細胞の増殖が強く、サイトカインの影響下に形態、機能を変え、D(F)細胞がin vivoにおいて観察される滑膜病変の多彩性に関与しているものと考えられた。D(M)細胞由来が考えられる細胞は強いclassll抗原の発現を持続し、D(M)細胞はRA滑膜炎の免疫学的活動性に大きく関与しているものと推測された。2慢性関節リウマチ滑膜初期病変の検討 初期のRA滑膜において、血管周囲へのHLA/DR強陽性細胞出現、それに続くT細胞の浸潤、Bリンパ球の集簇、濾胞様構造の形成にいたる過程が把握された。DR強陽性細胞は形態的にマクロファ-ジとは異なり、表面マ-カ-的にはRA滑膜炎で特微的に造殖するD(M)細胞と同一であった。3in vivoにおけるDR陽性細胞動態 ー薬剤投与による修飾ー RA初期例中、免疫調節剤ロ-ベンザリト投与後、症状の改善をみるものがあったが、効果の明かでない群の存在、DR陽性細胞の動態には有意な変化がないことなど、滑膜炎の形成過程における細胞間相互作用の複雑さが示唆された。4リウマトイド結節構成細胞と滑膜細胞の比較リウトイド結節のpalisading cellは本質的にRA滑膜D細胞に類似するが、滑膜炎が慢性進行性、破壊性であることに対し、結節は一過性、非破壊性という相違を示す。組織学的観察では、滑膜炎により多数のTリンパ球浸潤が認められることより、滑膜炎の慢性化や破壊性の獲得にはTリンパ球の関与が大きいと考えられた。また、RA滑膜炎初期から出現するDR強陽性細胞とこれらTリンパ球の相互作用、言い替えれば情報交換はいかにして行われているのか、RAの本質にも関わる大きな興味であり、今後の課題の一つとなろう。
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