刺激-放出連関においてCa^<++>が細胞内に遊離し分泌顆粒が開口分泌によって放出されることが知られている。副甲状腺主細胞には上位ホルモンがなく細胞外Ca^<++>濃度の変化に鋭敏に反応して副甲状腺ホルモン(PTH)を放出する。この機能発現時の細胞内Ca^<++>濃度の推移とPTHの分泌の経時的変化の関係を把握することを目的として行なった。 ウシ及びヒトの副甲状腺腫瘍組織を細切し、0.05%コラゲナ-ゼで酵素処理しfree cellとした。シャ-レの中にカバ-グラスを容れ、10%FCS添加MEM培地中で単層培養した。5μMのFura2-AMを滴下し2時間coadingした。ハンクス緩衝液で3回洗い37℃恒温チェンバ-の底部に細胞が単層で増殖しているカバ-グラスをOリングを用いて接着しハンクス液で灌流した。落射型倒立顕微鏡下に340nmと380nmの蛍光にてカバ-グラス上の一個の細胞に照射した。細胞の発する光を510nmband pass filterを用いて超高感度ビデオカメラで受ける。テレビ画面上の発光像を光電管を用いて受けオシロスコ-プで発光量をモニタ-しながらペンレコ-ダ-に記録する。340nmと380nmの刺激による発光量の比を発光量とした。チェンバ-内の細胞を正常濃度のCa^<++>で灌流した後、低濃度又は高濃度のCa^<++>に切り換える。Fura 2の発光量で求めたCa^<++>濃度とモニタ-のビデオを対照して常に20個以上の細胞の成績を平均して発光量を求めた。 酵素処理によってfree cellとし、副甲状腺腫瘍細胞の細胞内Ca^<++>濃度は、細胞外Ca^<++>濃度を半減させることによって急速に増加した。この細胞内Ca^<++>濃度の増加は細胞の微小環境の変化に基づくと考えられるが、微小環境の細胞外Ca^<++>濃度の変化を実測するのは困難であるので新しい低濃度溶液を交換する際に空気泡を入れた。発光量はGH_3細胞のそれに比し緩徐に増加し、発光量も少なく遅延して消光した。
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