研究概要 |
前年度までに、我々はFollicular dendritic cell(FDC)がB-cellの延命効果と増殖促進作用、さらにその分化に影響を与えることを知ったので、今回はそれらに関与しているサイトカインについて検討を加えた。 1.IL1βは7症例扁桃中、1例のFDC+B+TとB+T+Mφの分画に0.7ng/ml程の産生が認められた。 2.IL2とIFNγはたとえ各分画細胞にマイトジェンを加えても有意な値を検出できなかった。 3.IL4もまたB+T,B+T+Mφ,B+T+FDCの各分画に、0.8V/ml以上の産生を確認できなかった。 4.TNFは、他の分画に比べてB+T+FDC分画に高い(115pg/ml)値を上清に認めた。 5.IL6は、選択的にB+T+FDC分画に高値の産生がみとめられた。さらにIL6はこれまでの24時間の培養上清のみに限らず、日数を経るにつれ上昇し、7日目まで増加し、150V/ml程に達する。IL6の産生はマイトジェン、ことにPWM添加で増加する傾向にあった。 以上、B-cellの増殖と分化に関与するサイトカインの中ではIL6,TNF,IL1βがFDCの含まれる細胞分画に検出されたことより、in vivoでもこれらのサイトカインがFDCの関与する微小環境、すなわち胚中心に密接に関与していることが推定された。ことにIL6はFDCが直接にこれを産生しているのか、FDCが間接的に働いてBあるいはT-cellにその産生を促すのか、Castlemanリンパ腫で二次小節にIL-6の強い局在が観察されることと考え合わせて、非常に興味があり、将来、この疑問点をin situ hybridizationで解明してゆきたい。AIPS感染におけるFDCの態度やB-cell腫瘍化におけるFDCの役割に関しては、今後トライしたい。
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