研究課題/領域番号 |
63570146
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐藤 栄一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60004579)
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研究分担者 |
後藤 正道 国立療養所星塚敬愛園研究検査科, 科長
蓮井 和久 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70198703)
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キーワード | 悪性リンパ腫 / 成人T細胞白血病 / リンパ腫(ATLL) / HTLV-I associated myelopathy(HAM) / レトロウイルス / 中枢神経 / 神経病理 / 免疫組織化学 / Tリンパ球 |
研究概要 |
HTLV-Iと神経系の種々の関係を探るために、本年度は以下の研究を行った。 1.ATLL剖検例41例の中枢神経(脳:37例、脊髄:24例、平均年令60歳)の脊髄を検索し、臨床記録との比較を行った。腫瘍細胞の直接浸潤は22/41(54%)に認められたが、これらの症例に意識混濁や痴呆状態を伴うことが多かった。白質の空胞変性が脳で5/37に脊髄で4/24に見られたが、これらには腫瘍浸潤または抗腫瘍剤との関連が示唆された。4例に多核巨細胞の浸潤が見られ、うち2例はクリプトコッカス感染を伴っていた。他にカンジダ感染(1例)が認められた。真菌感染に伴ってミクログリアの結節形成が見られた。脊髄では上記以外に灰白質の粗しょう化が胸髄を中心に見られた。ATLLにしばしば見られる高カルシウム血症については、譫妄状態との関連が示唆された。 2.HTLV-I associated myelopathy(HAM)との病変の類似性について脊髄を詳細に検討したが、ATLLと共通する所見は見られなかった。 3.組織内のTリンパ球の動態を検索するために、ATLL、HAM、HTLV-Iキャリアー、ノンキャリアーの神経組織をT細胞マーカーを用いて検索し、HAM病変に多数のT細胞の出現を確認した。キャリアーとノンキャリアーの間にも差がある可能性があるため、さらに検討中である。 4.サイトメガウイルス感染症例を用いて、In situ hybridizationの至適条件を検討したが、いまだに安定した結果は得られていない。 5.組織でのリンパ球マーカーのpost-embedding ultrasturctural immunohisto-chemistryを確立する準備として、(1)凍結電顕の基礎的方法の検討、(2)アクリル樹脂包埋組織でらい菌特異抗原に対する特異抗体による免疫電顕を行ない、後者については方法を確立した。
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