研究課題/領域番号 |
63570146
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐藤 栄一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60004579)
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研究分担者 |
後藤 正道 国立療養所星塚敬愛園, 研究検査科, 科長
蓮井 和久 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70198703)
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キーワード | 成人T細胞白血病・リンパ腫 / HTLV-I associated myelopathy(HAM) / レトロウイルス / Tリンパ球 / 神経病理 / 免疫組織化学 / らい(ハンセン病) |
研究概要 |
HTLV-Iと神経系の関係を探るための基礎的研究として、昨年度に引き続き、以下の研究を行なった。 1.HTLV-I感染によって活性化したT細胞は脳血管関門を通過しやすくなっているのではないかと考え、ハンセン病療養所星塚敬愛園の剖検例で、生前の血清HTLV-I抗体(ATLA)陽性の4例、陰性の7例と、ATL非集積地域である東北大学医学部の剖検例19例の3群の胸髄の組織切片に、活性化T細胞と反応するモノクロ-ナル抗体UCHL1を用いて免疫組織化学染色をおこない、組織計測法によって、クモ膜下、脊髄実質内での血管内、血管周囲、血管から離れた実質内のUCHL1陽性細胞密度を求めた。クモ膜下、血管内、血管周囲のT細胞密度は3群間に明らかな差は見られなかった。一方、実質内の陽性細胞は60才以上では東北大学の症例よりも鹿児島の症例のほうがHTLV-I抗体の有無に関わりなく高密度であった。 2.生前にHAMを疑われたものの、病理学的には非定型像を示した1剖検例(55才女性)を上記の方法で検索したところ、クモ膜下では6倍、実質内血管周囲では3倍以上のT細胞が見いだされた。HAMの病理学的診断において、このような定量的検索は非常に有用であると考えられた。 3.カラ-画像解析装置を開発する課程で、免疫染色陽性細胞の細胞核についての画像情報が得られるようになったので、これを用いてT細胞の画像解析を行う予定である。 4.In situ hybridizationの確立が遅れているが、剖検例のパラフィンブロックからのDNA回収の手技がほぼ確立しつつあるので、今後はPolymerase chain reaction(PCR)によるHTLV-Iウイルスゲノムの検索を行ない、ATL、ATLA陽性非ATL、ATLA陰性例の間にその差があるかどうかを検討する予定である。
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