研究課題/領域番号 |
63570155
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
追手 巍 新潟大学, 医学部, 助教授 (60018744)
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研究分担者 |
折笠 道昭 新潟大学, 歯学部, 助手 (30185681)
吉田 和清 新潟大学, 医学部, 助手 (70174919)
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キーワード | 腎糸球体硬化 / 糸球体細胞培養 / 血液単球由来因子 / 細胞増殖 / 細胞外基質産生 / 糸球体腎炎 |
研究概要 |
私どもは糸球体構成細胞による継続的な細胞外質産生増加が糸球体硬化病変形成の主因であると想定している。昭和63年度は糸球体構成細胞のうちメサンギウム細胞の細胞増殖と基質産生機構を制御している因子を、糸球体培養法を用いin vitroで検索してきた。1.培養メサンバウム細胞の増殖は細胞数、^3H-サイミジンのDNAへの取り込みで測定した。培養メサンギウム細胞の細胞外基質産生は^3H-グルコサミン、^<35>S-硫酸塩の取り込みによりプロテオグリカン産生を調べた。2.ヒト血液単球を最近由来のリポ多糖体で刺激すると、培養メサンギウム細胞を著明に増殖させる因子(単球由来因子;MDF)が産生される。この因子の性状を他の成長因子と比較検討すると、(1)MDFを抗IL-1抗体で吸収してもメサンギウム細胞増殖活性が低下しない。(2)培養メツンギウム細胞に市販のIL-1を加えても私どもの測定条件てぜは明らかな増殖活性を認めない。(3)抗PDGF抗体でMDF中の細胞増殖活性を一部吸収できる。(4)この因子は分子量、400〜600kd、14〜20kdの2成分に分離された。3.培養メサンギウム細胞のプロテオグリカン産生に対するMDFの影響をみると、(1)上述の14〜20kdの分画がプロテオグリカン産生を著明に増強した(培養上清中、細胞結合型いずれも)、(2)単球由来因子のうち透析可能な分画(分子量10kd以下)中にはプロテオグリカン産生を抑制する活性が存在した。4.HR-9(マウス腫瘍細胞株)が産生する細胞外基質上でメサンギウム細胞を培養するとそれがない場合に比して細胞増殖も著明で、マイクロフィラメントの発達は少ない。4.腎炎における細胞増殖と単球との関係を詳細に分析できる新しい実験腎炎モデル(ハプテン基を用いた)を開発した。以上の成果の一部は第77回日本病理学会総会(S63.5)、第3回新潟腎シンポシジウム(S63.8)、第31回日本腎臓学会総会(S63.10)、第21回アメリカ腎臓学会(S63.12)で発表された。
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