研究概要 |
1.抗骨髄間質細胞単クローン性抗体の作製と骨髄間質の構築の解明:C57BLマウス由来骨髄前脂肪細胞株IIー1細胞を免疫原として、抗骨髄間質細胞単クローン性抗体Rー4ーAー9を作製した。この抗体はIIー1細胞表面抗原を認識しており、In vlvoでは免疫組織化学的に骨髄と脾臓に限局した反応性を示しており、これ以外では精巣間細胞と特定の臓器小動脈内皮細胞に選択的に陽性反応を認めた。特に骨髄間質では洞間細網細胞、洞周囲細網細胞と小動脈内皮細胞に陽性反応を示し、また洞内皮細胞にも反応することが示唆された。そして大腿骨骨髄全細胞における、これら反応陽性細胞の割合は約40%であった。また本抗体が認識する蛋白抗原分子量は、免疫沈降法によれば約10万であった。現在、貧血マウスの造血ないし非造血組織における本抗体の反応性を免疫組織化学的に検索している(赤坂)。 2.貧血マウスにおける骨髄間質の構築とギャップ結合の定量化:S/Sld,Sl+/Sl+,W/Wv,W+/W+およびC57BLマウスのin situの骨髄間質組織ならびにDexter型培養の壁付着細胞における、ギャップ結分の出現頻度を電子顕微鏡を用いた定量形態学的手法により検索した結果、in situの場合でもin vitroの場合でもSl/Sldマウスでのギャップ結合の頻度が統計的に有意に高かった(1988、Yamazaki)。 3.新たな骨髄間質細胞株(KUM)の樹立:C3Hマウス長期骨髄培養(Dexter培養)の壁付着細胞集団から数種類の単一骨髄間質細胞株を樹立した(梅沢、渡辺)。現在、これらの細胞株の造血支持能の解析、ならびに細胞化学、免疫組織化学的解析を行っている。
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