研究課題/領域番号 |
63570168
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
渡辺 陽之輔 慶應義塾大学, 医学部・病理学, 教授 (20051013)
|
研究分担者 |
梅沢 明弘 慶應義塾大学, 医学部・病理学, 助手 (70213486)
赤坂 喜清 慶應義塾大学, 医学部・病理学, 助手 (60202511)
山崎 一人 慶應義塾大学, 医学部・病理学, 助手 (40166640)
倉持 茂 慶應義塾大学, 医学部・病理学, 助手 (70137991)
|
キーワード | 骨髄 / 間質細胞 / 電子顕微鏡 / ギャップ結合 / 造血幹細胞 / 単クロ-ン性抗体 / 細胞外基質 / 増殖因子 |
研究概要 |
1.造血不全状態における抗骨髄間質細胞単クロ-ン性抗体R-4-A-9の発現様式 放射線照射後の造血不全状態骨髄でのR-4-A-9抗原の発現様式を観察し、造血巣再生・回復過程における同抗原の発現の特徴を免疫組織化学的に明らかにした(赤坂)。4Gy(400rad)照射後7日目、14日目では造血能の再生とともに減少していくのが認められた。8Gy(800rad)照射後の低形成極期の骨髄では最も抗原発現が強く認められた。一方、骨髄移植を行うと抗原発現は明らかに減少した。また骨髄以外の臓器・組織にも抗原発現が認められ、この抗原が放射線非照射野でも認められたことから、放射線照射の直接的な影響を受けないことが示された。さらにR-4-A-9抗原は再生造血巣の出現に先行して発現し減少する。しかも造血能に応じて増減することから、造血微小環境を構成する間質細胞表面抗原である可能性が示唆された。 現在は遺伝性貧血マウスであるS1/S1^dマウスの骨髄組織標本を作製しこの抗体との免疫組織化学的反応性を検討し間質構造と抗原性の関連を精査している段階である。今後、造血細胞とR-4-A-9抗原との機能的関係が検索され、この抗原の性格が更に明らかになるにつれて、S1^4/S1^dマウスの貧血状態を惹起する間質構造の異常の意味付けが可能になると思われる。 2.新たな骨髄間質細胞株の樹立 骨髄微小環境を構成する個々の間質細胞の特性を検索するために、C3H/Heマウス長期骨髄培養系からKUM1〜9,YW(梅沢)とBE-1〜3(渡辺、山田)の合計13種類の細胞株を得た。前者(KUM1〜9,YW)の細胞株はいずれも形態学的に異なる特徴を有していた。とくに、KUM4とKUM9は、脂肪細胞化するものの、Nothern blotによる解析によればM-CSF,collagen Iとcollagen IIIの産生が認められ、GM-CSFとG-CSFの産生は認められなかった。後者(BE1〜3)の細胞株は管腔形成能と種々のマ-カ-検索から内皮細胞由来と考えられた。特にBE-1細胞は造血細胞を捕獲する能力に富み、これにはムコ多糖分子が関与していることが示された。今後これらの細胞株は新たな液性因子の産生能の検索ならびに造血細胞との接着の機序の解析に重要であると思われる。
|