フロ-サイトメトリ-(FCM)を用いて細胞の粒子貧食活性を評価する新たな方法を開発した。細胞の粒子貪食の経時変化を観察すると、貪食した細胞の割合と貪食された全粒子数とは比例関係になく、さらにそれらの値は粒子添加後の時間とも比例関係になく、それらは観察の時間及び添加粒子濃度等により変化することがわかった。従って貪食活性を評価するには観測時間、貪食細胞の割合、被貪食粒子数等を表現できる関係式とパラメ-タ-が必要であると思われる。本研究ではその関係式を示し、パラメ-タ-の性格をFCMを用いた応用例を交えて明らかにした。研究成果は12章に分割して示されている。以下に概要を示す。1)貪食の基本的FCM測定を示した。2)FCMと顕微鏡との結果を比較しFCM測定が信頼できることを示した。3)細胞に貪食された粒子と接触した粒子の区別がFCM測定では容易に行えることを示した。4)粒子サイズを検討しFCM測定においては2μm直径粒子が適していることを示した。5)細胞周囲の粒子平衡が15分で完了することをビデオこま撮り装置を用いて示した。6)FCM測定における蛍光ピ-クの広がりは蛍光粒子の細胞内局在によることを示した。7)V79細胞とマクロファ-ジとの貪食作用を比較し、解析にはV79が優れていることを示した。8)貪食活性を評価する解析式とパラメ-タ-を示した。9)添加粒子濃度を変えたときパラメ-タ-がどの様に変化するかを示した。10)蛍光ヒストグラムから貪食粒子数を算出するコンピュ-タプログラムを示した。11)培養細胞における貪食活性の細胞周期依存性を示した。12)ヒドロキシウレアによる貪食活性の変化を調べ、その結果を細胞サイズと細胞膜流動性から説明した。
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