研究課題/領域番号 |
63570175
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
平井 和光 愛媛大学, 医学部, 助教授 (20093940)
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研究分担者 |
坪井 敬文 愛媛大学, 医学部, 助手 (00188616)
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キーワード | マンソン裂頭条虫 / 擬充尾虫 / 成長ホルモン / 初代培養肝細胞増殖活性 / 成長因子 / ヒト成長ホルモンモノクロナ-ル抗体 |
研究概要 |
マンソン裂頭条虫擬充尾虫の虫体抽出液及び虫体培養液からヒト成長ホルモン(GH)受容体に対してヒトGHと競合置換するGH様物質が分子量27KDの糖蛋白として分離され、さらに初代培養マウス肝細胞の細胞増殖活性を示す16KDの蛋白が分離された。そこで27KDの蛋白の性状を明らかにするために電気泳動にて精製し、アミノ酸配列を分析したところチオ-ルプロテア-ゼに類似する物質であり、本物質が肝細胞増殖に関与している可能性も示唆された。また、虫体培養液をGH受容体ーアフィニティクロマトグラフィにて分画すると5MーMgCl_2 溶出分画にヒトGHと同一Rm値を示す22KDの蛋白が存在し、そしてこの蛋白がヒトGHマウスモノクロナ-ル抗体と交叉反応することが判明した。一方虫体抽出液においては、25KDのBandがヒトGHマウスモノクロナ-ル抗体と交叉反応する主なる蛋白であった。だが、これらのBand以外にも交叉反応するBandが多数認められた。これらの試料を取扱う経過においてGH様物質は不安定な物質であるようにみうけられ、精製過程における安定化の方策の検討が必要であるよう思われた。一方、GH様物質の生物学的活性の一指標として糖質代謝に及ぼす影響を検討するためにラット脂肪細胞への^<14>CーGlucoseの取込み実験を試みた。虫体培養液及び虫体抽出液のGH受容体ーアフィニティクロマトグラフィ精製標品は、対照に比較して約1.2倍の^<14>CーGlucoseの取込の増加しか観察されずさらなる検討が必要であった。今後、ヒトGHモノクロナ-ル抗体との交叉反応性を一つの指標として電気泳動でGH様物質を分離し、そのアミノ酸配列を明らかにすることが課題である。
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