研究課題/領域番号 |
63570177
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
神原 廣二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (20029789)
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研究分担者 |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60184975)
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
福間 利秀 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (90125146)
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キーワード | クル-ズトリパノソ-マ / トリポマスチゴ-ト / アマスチゴ-ト / 病原力 / 細胞表面成分 / キネトプラスト / トランスフォ-メ-ション |
研究概要 |
クル-ズトリパノソ-マの哺乳類での感染成立、持続に重要な役割を果すのは、トリポマスチゴ-トである。このステ-ジの原虫がその細胞表面に脂質様成分を持ち、それが病原力の高いクロ-ンにより多量に存在することは既に報告した。これまでに判明したことはトリポマスチゴ-トはクエン酸バフア-で低pHに調整した1%牛アルブミン加培養液199中ではすみやかにアマスチゴ-トに変態するが、酢酸バファ-は原虫に毒性が強い。クエン酸のCa^<++>マスキングはこの変態には関連しない。低pHには変態終了まで置く必要はなく、適当な時間の前処理のみで変態は進行する。この変態に伴い原虫より分離される物質の中には、原虫を溶解させるものがあるが、アルブミンにより中和される。この溶解性は病原力の高いものに強い。変態過程は栄養を要求する。これらのことより、私達はトリポマスチゴ-トには、おそらくはその細胞表面にステ-ジ維持因子があり、低pH域では容易に外れるが中性域では徐々に外れる、中性域で血清が存在する場合はいっそう外れ難い、この維持因子はクロ-ンまたは分離株により、さらには同一クロ-ン内でも機能分化の程度により量的、質的な差違がある。それが変態速度の変動をもたらす、維持因子が外れると、アマスチゴ-トへの変態がはじまり、構成成分の変化に伴い数々の物質が分離または分泌される、そのうちの少くとも一つの物質は原虫溶解作用を示すが、アルブミンにより中和される、と予測している。分離物質の少くともクロロホルム・メタノ-ル抽出物のクロロホルム層が溶解作用をもつことは証明した。前年報告した病原力の強いクロ-ンまたは分離株が、キネトプラスト・ミニサ-クルの制限酵素による切断パタ-ンの違いを示すことは、キネトプラストが変態に伴い形態変化を示すことより、この過程に深く関連していることを予想させる。
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