Pseudomonas cepaciaの紫外線照射によるDNA損傷の光回復機構の遺伝機構の解明を目的として、先ずP.cepacia PCJ株を使って光回復能を失った変異株の分離を試みた。P.cepaciaの対数増殖期の細胞をEthylmethane sulfonateにより変異誘発を行ない、レプリカ法により、約5×10^4の生残菌から17株の紫外線感受性変異株を分離した。これらの変異株ではすべて光回復現象が認められなかった。また、これらの変異株を使っての実験成績から、この細菌種においては、紫外線照射によるDNA損傷の修復に暗回復(dark repair)はほとんど機能していないことが示唆された。次に、光回復能に関与する遺伝子をクローニングする目的でPCJ株の染色体遺伝子のコスミドライブラリーを、広宿主域ベクター、pLA2917と大腸菌S17-1株を宿主菌として作製した。このコスミドライブラリーのクローンは約25kb〜30kbの染色体断片を持っている。接合により各クローンをP.cepaciaの光回復機能に変異を持つ株に伝達して、その変異を相補できるクローンを探した。その結果、現在までにこの種の変異を相補できる1つのクローンを分離した、このクローンは1株を除いて、すべての供試株の変異を相補できた。以上の成績はP.cepaciaにおいて、紫外線照射によるDNA損傷の修復には、(1)光回復が極めて重要な役を果していること。そして(2)少なくとも2種の遺伝子がこの形質発現に関与していることを示している。 引続いて、光回復に関与する遺伝子の解析を進めたい。
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