研究概要 |
前年度、C9欠損血清は、ある種のグラム陰性菌、特に大腸菌を殺菌する能力のあることを示したが、今年度は、その殺菌作用に関するメカニズムを解析することに注目し研究を進めていった。以前から、感作赤血球は補体成分C1からC8までの成分で溶血することが知られており、内経約1mm以下の小さなmembrane channelが形成されていることが報告されている。このことから、C9欠損血清処理した菌体上でもchannelが形成されることが推定され、この事が菌の死に必要不可決であることが推定される。しかしながら、C5bー8複合体の主な役割はC9のポリメリゼ-ションを触媒することであり、そのポリC9により内経10ー20nmのhollow cylinder様のchannelを形成させ、その後のcytoplasmic membraneに対するirreverssibleなdamageでもって菌の死を伴なわせると現在考えられている。このことから、第1に、C9欠損血清存在下で菌上にchannelが形成されるかどうかを調べる実験系として大腸菌と共に^3Hーglycerol(菌のmembrane phospholipidに選択的にincorpolateする)存在下で培養し洗浄後、C7欠損血清、C9欠損血清、更にはC9を加え、時間的にphospholipid又はLPSの遊離状態を調べている。同時に菌の死が外膜傷害だけで十分なのか、又は内膜にも同時に影響を与えるのかを調べる方法として、Taylorらは(Curn. Top. Microbiol. Immunol.)121,135ー158)菌の死と付随して蔗糖密度句配下での外膜と内膜の分離中血清処理菌の内膜回収が消失し、同時に内膜存在NADH oxidaseが外膜に相当する場所に移動することを報告しているので、菌の外膜、内膜の分離を、Krollらの方法(Infect Immun.42,1055ー1066)で分離し、C9欠損血清で種々の時間処理した各々の菌体の外膜と内膜を分離し、内膜に局在している、NADHoxidaseの活性の移動の変化を追跡している。更に精製C9を加えた時の外膜、内膜の分離上の変化を追跡している。
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