研究課題/領域番号 |
63570197
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小田 紘 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40107868)
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研究分担者 |
吉家 清貴 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70174886)
又吉 盛健 鹿児島大学, 医学部, 助手 (00128456)
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キーワード | 紅斑熱リケッチア症 / リケッチア / 血清疫学 / 鹿児島県 / イムノブロッティング法 / 蛍光抗体法 |
研究概要 |
1.紅斑熱リケッチア症に関する血清学的調査(患者の発掘):鹿児島地方において昭和61年から62年にかけて臨床的に恙虫病が疑われたにもかかわらず恙虫病抗体陰性であった患者血清32検体について蛍光抗体法による検索を行った。抗原としては紅斑熱群リケッチアに属するRickettsia sibiricaを用いた。その結果5症例7検体でR.sibiricaに対する抗体が検出された。(抗体価320〜2560倍)。さらに昭和63年中に、恙虫病様症状を呈した患者12例の血清を検査した結果、1例にR.sibiricaに対する抗体が検出された。即ち、過去3年間で6例の抗体陽性者が発見された。6例とも恙虫病リケッチアに対する抗体価は20倍未満であった。発症時期は8月〜11月にわたっており、地域的偏りはみられなかった。症状は恙虫病に酷使しており、臨床的に両疾患を区別するのは困難と思われた。 2.病原リケッチア分離の試み:患者血液をサイクロホスファミド処理マウスおよび培養L929細胞に接種してリケッチアの分離を試みた。その結果、目下観察中の1例を除き、現在までのところ紅斑熱リケッチアは分離されていない。 3.患者血清のイムノブロッティング法による解析:R.sibirica感染L929細胞を密閉式超音波細胞破砕装置により破砕し、パーコール法によりリケッチアの精製を行った。精製リケッチアをSDS-PAGEにかけウエスタンブロットしたものを抗原として、患者血清中の抗体を分析した。R.sibiricaはSDS-PAGEで約10本のバンドを示したが、このうちの分子量約13.5万、12万11万、および4.7万のバンドが患者血清と反応した。陰性コントロール血清はいずれのバンドとも反応しなかった。 4.本研究の遂行過程で、上述の分離システムを用いて偶然の機会からQ熱の病原リケッチアを分離することに成功した。
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