研究課題/領域番号 |
63570203
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小澤 敦 東海大学, 医学部(微生物学), 教授 (50055638)
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研究分担者 |
渡辺 慶一 東海大学, 医学部(病理学), 教授 (00055865)
大西 信彦 東海大学, 医学部(微生物学), 助手 (30051717)
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キーワード | ネズミチフス菌 / 無菌マウス / 化学発光 / 活性酸素 |
研究概要 |
ネズミチフス菌をICR系の無菌マウス及び普通マウスに皮下感染すると、無菌マウス感染群においては感染後5〜7日目に血中からの菌の検出もみとめられ、肝、脾の菌数も普通マウス感染群に比し高く評価された。普通マウス感染群の血中からの菌の検出はみられなかった。カーボンクリアランス試験による網内系機能測定によって得られたK値、α値と肝、脾から回収された生菌数との間に相関性がみられ、その反応性は普通マウス感染群の方が無菌マウス感染群より高く評価された。又肉芽腫構成細胞種について、普通マウス感染群の場合クッペル細胞が主体であるのに対し、無菌マウス皮下感染群は前単球によって占められていた。普通マウス感染群では、感染初期において好中球数や単球数の軽度の増加がみられるが、無菌マウス感染群では感染初期の細胞数の応答は弱く、感染経過と共に増加傾向がみられ、この傾向は好中球数において著明であった。一方血中食細胞よりの活性酸素放出能をルミノール存在下でザイモザンを刺激剤として加え、化学発光の放出として測定した結果、細胞当りのピークCL値の感染経過を追っての経時的観察において、無菌マウス感染群は普通マウス感染群に比較して高く評価され、特にこの傾向は感染5日目において著明であった。血中好中球数の感染経過に対応した変動パターンと、血中食細胞のピークCL値の経時的追跡の結果とを比較すると、無菌マウスにおける好中球数の量的変動と、活性酸素放出能を指標とした血中顆粒球系食細胞の機能との間には逆相関が成立するように思われる。このことは非特異的防御系の中でいとなまれる顆粒球系食細胞の中での量と質の補完反応及びマクロファージ系細胞と顆粒球系食細胞との間の機能的補完反応を表現しているように考えられ、食細胞系の間に繰り広げられる恒常性維持機構の側面をあらわしているものとして興味深い。
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