研究課題/領域番号 |
63570211
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
新居 志郎 岡山大学, 医学部, 教授 (40029757)
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研究分担者 |
荒尾 雄二郎 岡山大学, 医学部, 助手 (40151146)
吉田 まり子 岡山大学, 医学部, 助手 (20144743)
宇野 文夫 岡山大学, 医学部, 講師 (20093669)
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 神経毒性 / 潜伏感染能 / 再活性化 / 動物実験モデル / n-butyrate / 組換え株 / 細胞融合能 |
研究概要 |
1.n-butyrateを作用させることによって、マウス三叉神経節内に潜伏感染中の深山-GCr株(通常の方法では活性化効率不良なウイルス株)を活性化効率が良好なウイルス株と同程度まで活性化することができた。 2.F株、およびn-butyrateにより促進された深山-GCr株の再活性化を遺伝子組換えマウスインターフェロン-βにより抑制することができた。潜伏感染ウイルスの活性化を抑制するその他の因子を見いだすために、弱毒SKO・Syn-株接種24時間後、潜伏感染効率の異なる2種類の強毒株を後接種し、SKO-Syn-株の潜伏感染の成立および活性化の抑制について検討した。その結果、次の事実が明かとなった。(1)強毒株の後接種は、SKO・Syn-株の潜伏感染に余り影響を与えない。(2)弱毒株の前接種は、強毒株接種後のマウスの死亡率を低下させることによって、強毒株の潜伏感染の検討を行い易くした。(3)SKO・Syn-株とF株の組合せにおいては、2種類のウイルスが高率に同一の神経節に潜伏するという従来の学説と相反する興味ある成績を得た。 (3)ウイルスの神経毒力および潜伏感染能に関連する遺伝子群をウイルスゲノム上に位置づけるために2種類の方法を用いて検討をおこなった。まず、全ウイルスゲノムとウイルスDNAのクローン化断片をco-transfectionする方法では、HSV-1の株間組換え株の選抜が技術的に困難であることがわかった。次に、古典的組換えを用いる方法では、昭和63年度において、制限酵素切断処理ウイルスDNAの電気泳動バターンに基づき、HSV-1とHSV-2の間の型間組換え株を選抜した。平成元年度は、神経毒力および潜伏感染能に差を有する2種類のHSV-1株からそれぞれ作成した型間組換え株を用いてHSV-1の株間組換え株を作成し、その神経毒力および潜伏感染能を測定する予定である。 (4)ウイルスの神経毒性を検討する基礎として、マウスにおけるウイルス増殖部位を酵素抗体法によって確認した。
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