研究課題/領域番号 |
63570225
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
富永 明 熊本大学, 医学部・免疫研・生物学部門, 助教授 (50172193)
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研究分担者 |
高津 聖志 熊本大学, 医学部・免疫研・生物学部門, 教授 (10107055)
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キーワード | インターロイキン5 / トランスジェニックマウス / IgM / IgA / 好酸球 / リンパ球様細胞 |
研究概要 |
(1)マウスIL-5cDNAをマウスメタロチオネインプロモーターに結合した上記プラスミドをマウスL細胞に移入し、その発現を検討したところ、1×10^6の細胞あたり24時間で約600UのIL-5を産生した。このIL-5の産生は5μMのカドミウムイオン添加によって約5倍に増強された。(2)ベクター部分を除いた上記遺伝子を移入したC3H/HeNマウスの121個の受精卵より13匹のマウスが生まれ、そのうち2匹に移入したIL-5遺伝子が認められた。同様にIL-5低産生マウス、C3H/HeNにIL-5遺伝子を移入した200個の受精卵より20匹のマウスが生まれ、そのうち2匹に移入IL-5遺伝子が認められた。どちらのマウスにおいても移入IL-5遺伝子のコピー数の少ないものと多いものの2種のマウスが得られた。(3)C3H/HeNにおいては移入IL-5遺伝子の少ない個体(N-6)において末梢血中の好酸球が数倍に増加し、IgM、IgAの濃度も正常の2倍以上に増加していた(15週令)。このマウス(雄)を正常雌と交配することによって生まれたF_123匹中10匹に移入移遺伝子が認められた。そのすべての個体において血液中にIL-5が約0.3U/mlから2.6U/ml検出され(対照群では0.05U/ml以下)、好酸球が20%から47%に上昇していた(対照群では9%以下)。8週令の時点では血液中のIgMの濃度が約2倍に上昇していた。(4)C3H/HeJマウスにおいても低コピー数の移入遺伝子の入ったマウス一匹について血液中のIgM濃度、IgA濃度が上昇していた(19週令)。好酸球の増加に関しては個体間のバラツキが大きく、結論が出せなかった。このマウスと正常雌をかけあわせたF_1においてはIL-5遺伝子のコピー数が増加しており、血液中のIgM・IgAのレベルにも変化がみられなかった(8週令)。またC3H/HeN-6マウスでは好酸球の他にリンパ球様の細胞が末梢血中に増加しており、IL-5がリンパ球の前駆細胞を増加させている可能性が示唆された。
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