研究概要 |
研究目的:マクロファージ(Mφ)機能の分子解析を目的としてこれまで種々のMφの膜蛋白や分泌蛋白のcDNAや遺伝子の構造を明かにしてきた。本研究はそのなかの一つ、MS2蛋白遺伝子の解析を目的とした。 成果:1.MS2cDNAの塩基配列解析;マウスMS2の転写物は3.1kbでcDNAの5'端の塩基配列がなお末解決であったが、全オープンリーディングフレーム(ORF)を含むcDNAの構造を明らかにした。すなわち、ORFは全長2478bpで826個のアミノ酸をコードし、構造の特徴としてシグナルペプチド、膜外部のシステインリッチドメイン、膜貫通部、細胞質部のプロリンリッチドメインを含むことが判明した。2.MS2遺伝子の塩基配列検索;マウスのMS2遺伝子を含むEMBL3ファージクローンを分離し、塩基配列の決定を行っている。すでに、細胞膜外部の殆どの領域の配列を決定したが、この部のみで約6500bpの長さを持ち、長短の多数の(10個)イントロンを含む特有な構造が明らかになりつつある。5'部、膜貫通部および細胞質部の塩基配列検索を目下継続中である。転写開始部上流の転写調節領域の構造ならびに調節蛋白の検索を行うことも計画している。3.MS2ペプチド抗体の作成;MS2蛋白の膜外部および細胞質部の数ケ所の親水性アミノ酸配列部についてペプチドを合成し、これらに対するウサギ抗体を作成した。これらを用いてFACSによる検索、PAP法による光顕的、電顕的検索およびO'Farrell法による解析などを開始している。4.MS2遺伝子の発現;LPS,INF_γ,MDP,TPAなどの種々の刺激因子により本遺伝子の転写亢進が起こる。この他の刺激因子も加えinvivoおよびinvitroにおける刺激効果をより詳細に検討中である。5.マウスMS2cDNAを用いてヒトMφcDNAライブラリーによりこれに対応するcDNAクローンを得、その塩基配列を検索中である。
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