1.ラットCD2 cDNAをプロ-ブとしてマウスCD2 cDNAを単離し、細胞質内部の一次構造がヒト、マウス間でよく保存されていることを見い出した。2.マウスCD2 cDNAを発現させた線維芽細胞との反応性を指標に、5種のラット抗マウスCD2を作製した。3.mAb及びcDNAを用いた解析により、マウスでは、全ての末梢B細胞にもCD2が発現しており、その発現は骨髄内での分化過程中、preB細胞の段階で起こることを明らかにした。4.マウスCD2を発現させた線維芽細胞とmAbを用いて、マウスCD2が細胞間接着分子としての機能を有すること、及び5個のmAbが全てこの接着機能を阻害することを示した。5.既に樹立したラットmAbを用いて精製したマウスCD2抗原でハムスタ-を免疫し、さらに数種のエピト-プに対するmAbを作製した。これらのmAbは先のラットmAbと組み合わせると、マウスT細胞の活性化を誘起することからマウスCD2を介した活性化経路の存在が示された。以上の結果から、マウスCD2はヒトCD2と同様に接着とシグナル伝達の両機能を有していることが証明された。6.CD2を有していない抗原特異的ヘルパ-T細胞株にcDNA移入によりCD2を発現させると、1/40〜1/10低濃度の抗原とも反応するようになるが、細胞質内部を欠失したCD2分子を発現させてもこの増強作用は見られず、T細胞の抗原反応性の調節におけるCD2を介したシグナルの重要性が示唆された。7.CD2を有していないNK細胞株にCD2分子を発現させると、特定の標的細胞との結合が促進されるとともに細胞障害性が誘起された。細胞質内部を欠失したCD2分子を発現させると標的との結合は影響されなかったが、細胞障害性の著しい低下が見られ、NK細胞の標的認識と細胞障害性の惹起におけるCD2機能の重要性が示唆された。8.マウス胸腺内でのT細胞分化過程において、CD2はかなり早期から発現がみられたが、胎仔胸腺の組織培養系に抗CD2mAbを加えてもT細胞の成熟には影響しなかった。
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