TP67.21はTNPーLPSで免疫したA/J系マウスの脾臓より得たB細胞とHAT選択培地感受性を示すB細胞変異株2.52Mとの間で樹立したB細胞ハイブリドーマであり、細胞表面にIgM、IA^K、IE^K、B220などB細胞に特徴的な表面抗原を有しかつTNPーSRBCに対してロゼット形成能を有する。TNP基特異的B細胞クローンである。我々は細胞融合法により作成したこの抗原特異的B細胞クローンを用いた実験により、下記の知見を明らかにした。(1)このB細胞株はLPSや抗IgM抗体などの非特異的でポリクロナルな刺激だけではなく、特異抗原であるTNP化抗原(TNPーKLH、TNPーBSA、TNPーOVAなど)で刺激培養することによりT細胞のヘルプなしに有意に抗TNP抗体産生細胞へ分化誘導可能であること、(2)サイトフローメトリーの解析によりTNP化抗原で刺激後のTP67.21の細胞表面上のIgM、IA^K、IE^KおよびB220は有意に減少すること、(3)これらの反応はirrelevantな抗原であるTNP-alanineの存在で著明に抑制される。(4)一方抗IA^Kや抗IE^Kを同時に加えて刺激培養しても生じる抗TNP抗体産生細胞には殆んど影響を与えないことを明らかにした。以上の実験結果はB細胞表面上の抗原特異的受容体と抗原との直接的な結合がB細胞の分化成熟への何らかのシグナルを誘導することを強く示唆している。これらの反応にT細胞由来のリンフォカインがいかなる関与を有するかを調べるため、r-IL5を同時に加えて培養すると産生される抗TNP抗体は著増した。興味あることにIL-5によるCの相乗効果は抗IA^Kや抗IE^Kの存在により有意に抑制された。この結果はB細胞表面上のMHCクラスII抗原は、IL-5に対する機能的受容体である可能性を示唆している。現在、我々はB細胞の分化成熟過程におけるB細胞表面上のMHCクラスII抗原の関与につき、さらに詳細を検討中である。
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