今回の実験に使用したTNP基特異的B細胞クロ-ン:TP67.14は細胞表面にIgM、IA^k、IE^k、B220などのB細胞に特徴的な細胞表面マ-カ-を有し、かつTNP基特異的受容体を有する抗原特異的B細胞株である。既報の如く、この細胞はTNP-BSAやTNP-KLHなどのTNP化抗原による刺激で、有意に抗TNP抗体産生細胞へ分化誘導可能である。この過程において、TP67.14の細胞表面のクラスII抗原がいかなる関与を有するかを明らかにするため、下記の実験を行なった。ハイブリド-マの培養上清を、アフィニティクロマトグラフィ-により分離精製して得られたモノクロナル抗IA^kおよび抗IE^kを加えてTP67.14を培養すると、生じる抗TNP-PFCは抗IA^dや抗H-2^kに比し有意に増加した。更にこれらのモノクロナル抗体に直接TNP基を結合させた抗原で細胞を刺激培養すると、生じる抗TNP-PFCはTNP-抗IA^kやTNP-抗IE^kを用いた場合、TNP-抗IA^dやTNP-抗MGGを使用した場合に比し、著増していた。以上の実験結果は抗原の存在により誘導されるB細胞の特異的抗体の産生には、B細胞の細胞表面のMHCクラスII抗原自身が直接的な影響を及ぼしていることを強く示唆している。
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