ハートレー系モルモット(オス、クリーン、4週令)を使用し、蝸牛whole nerve Action Potentil(AP)を1kHz、2kHz、4kHzおよび6kHzのpulse toneを使用し、閾値、intensity function等を調べる。ついで、1kHz、100dB(A)の音暴露を4時間、20時間および40時間それぞれ暴露する。さらに1kHz、110dB(A)の音暴露を同様に4時間、20時間および40時間についてそれぞれに実施した。次第にモルモット聴覚にTTSからPTSが生じ、1kHz暴露で4kおよび6kHzにdipが生ずること。7kHzのApの閾値の上昇とMaximum output voltageの減少が著明であったことが認められた。また、Ep電位にも変化が認められた。強大騒音であればその臨界帯域を越えて、高音部の神経性難聴の生ずることが予見された。 騒音製難聴耳のいわゆるC_5dipは、その被暴騒音の周波数特性の如何に関せず生ずることは、音波がいわゆるストレスとして内耳の血行動態に交感神経刺激作用をおよぼすため血行の途絶などの作用をおよぼす。これがもっとも敏感に作用する部位の内耳コルチ器に作用するためと思われる。Epの動態の変化つまりnegative potentialの減少、潜時の延長などがこれを端的に物語るものと考えられる。 B.Bohneらは500Hz長時間暴露、つまり1kHzのそれより長い騒音暴露でもC_5dipの生ずることをcorti器の病理学的所見から追求しているが、我々はより敏感な指標として電気生理学的手法を用いて、この間の騒音の周波数とC_5dipとの関連について追求したのである。
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